一つの世界

これもまた一つの世界

僕と音楽(とライブの話)

 僕が音楽をまともに聞くようになったのは大学生になってからで、それまでは母の車の中で流れていた音楽ぐらいしか知らなくて、あとは学校の授業ぐらいだった。学校の授業の音楽は好きだった。実技科目は体育の球技と音楽だけ好きという感じで、他は好きじゃないというか美術とかは特に苦手だった。脱線してしまったので元に戻すと、授業の音楽は好きだった。歌うのも結構好きだったし、楽器も嫌いじゃなかった。高校の芸術科目の選択でも音楽を選択したので、コードとか長3度とか、その辺の基本的なことは少しわかる。母の車の中ではZARDELTなどがかかっていたから、一時期のアルバムはだいたいわかる気がする。高校の終わりぐらいに、友達と遊びに行くときにカラオケに行くことが少し出てきて、高校時代の親友が好きだったミスチルを少しだけ聞いた。それだけだった。

 大学に入って一人暮らしを始め、これが転機になった。僕は家族に音楽が好きだと公言したくないというか、それはなんとなく色気づいているような感じがするので、他のことも含めてそういうのを極力隠しているんだけど、それのせいもあって音楽を聞けなかったのもあるので、一人暮らしを始めて音楽を聞き出すようになった。初めはミスチルだった。それなりにいろいろ聞いて、2010年ぐらいのアルバム以前のものはだいたいわかるようになった。ちょうどその頃、僕はとあるSNSサイトである男性と知り合った。同い年でミスチル好きの浪人生だった。僕は彼と親しくなり、Skype等でも話すようになった。彼は弾き語りをするタイプの音楽好き青年で、僕は彼を音楽の師として仰ぐようになった。東京事変GRAPEVINENumber GirlBlankey Jet CityTHE BACK HORNフジファブリック、そしてSyrup16g。この辺りを聞くようになったのは、すべて彼の影響だった。そうして僕はSyrup16gと運命的な出会い(?)を果たした。最初はブラックなミスチル、ちょうど深海(アルバム名)の頃のような、と聞いて、僕もミスチルのダークな頃の曲が好きだったのでシロップを聞いてみた。――どはまりした。前にも言ったけど、メロディーから歌詞から何から何まで好みだった。言葉遊びを見つけるのも好きだった。とにかく大好きになり、すぐに多分ほぼ全曲聞いた。それから例の彼にそのことを話すと、「俺もベストしか借りてないから…」のような感じで言われ、それで彼もさらに聞くようになったという感じだった。とにかくすごいバンドに出会ったと思った。大学のつらかった頃はひたすらシロップばかり聞いていた。最初は耳触りの良い生活やセンチメンタルみたいなメジャー曲、それから真空やHeavenのような激しい曲が好きになった。そしてその後ずっと聞いている内に、ダウナーな曲がどんどん好きになっていった。テンションが低いときなどに日常的に聞くのにはダウナーな曲が一番向いている。この頃からCOPYというアルバムが大好きになった。一応断っておくと、僕はよく音楽をアルバム単位で聞く。これも例の彼の影響で、彼はよくこのアルバムが良いだとかこのアルバムの流れが…ということを言っていた。単純にそれが移っただけだ。COPYは基本的にとてもダウナーな感じのアルバムで、ひたすら繰り返し聞いていても何も邪魔しない感じの日常音楽というか、ずーっと聞いているのがまったく苦にならない感じのアルバムで、僕が知っている音楽のすべてのアルバムの中で一番好きなアルバムだ。大学3年のときは実験が週に2回あり、週に2回実験レポートを出す必要があったんだけど、やる気が湧かない僕はいつも0時ぐらいに起きてレポートを書いていて、そのときもだいたいCOPYを垂れ流していた。通学のときも何を聞くか迷ったらとりあえずCOPYを聞いていた。そんな感じでCOPYを聞きまくった。大好きになった。そしてもうこのときには自分の中でシロップを超えるアーティストはないと思っていた。ただ、シロップはもう解散しているバンドだった。ライブ等はないと思っていた。

 だが、M1(修士1年)のとき、シロップが復活した。何とも言えない喜びだった。復活ライブがあった。ただ、東京でのライブの日程が中国での学会発表の日と被っていた。そのことに気付かずに東京でライブに応募した。そして落選した。その後、何気なく落選した旨を当時のツイッターのアカウントでツイートしたところ、フォロワーさんからリプがあって、名古屋公演のペアのチケットが余っているとのことだった。僕はコミュ障マックスおじさんだし、名古屋は遠いと思って迷った。が、日程的にもぎりぎりセーフだしと、すぐに行く決心をしてチケットをいただいた。ペアのもう一人の人はそのフォロワーさんのフォロワーの女性だった。「ええいままよ」という感じでツイッターで少しお話しして、当日お会いした。乗り掛かった舟だし頑張るしかないと思った。結果としては、僕はもちろん初ライブだったので何もわからなかったし、ペアの方がいて良かった、という感じだった。もちろん会ってから少しお話しした。とりあえずシロップのことについて話したと思う。僕は冴えない学生なのでいろいろと申し訳ないと思った。会場ではペアの方のツイッターでの知り合いの方とも少しお話しした。僕はコミュ力0なので、「ひえー、みんなすごい…」と少々気圧されながら時が経つのを待った。ラッキーなことに、場所としては結構前の方にいられた。そしてついに…「Share the light」から始まったライブは、僕にとって忘れられないものとなった。直前に発売されたCDの新譜が多かったけど、盛り上がって楽しめた。僕は「君待ち」をやってくれたのが一番嬉しかった。モッシュというのかわからないけど、周りの人に押されて途中でペアだった人とははぐれてしまった。だから終わった後は一人だった。僕は夜行バスを予約していたのでそれに乗って帰った。次の日は朝から中国の学会発表のリハーサルだったから、バスの中で英語を念じなおしてから寝た。そこまで含めて良い思い出だった。

 そしてつい先日、またライブに行ってきた。ツイッターで少しお話ししたので知っている方は知っていると思うけど、大学のときの研究室に挨拶に行ってから会場入りしたら、研究室の方で思いのほか時間がかかったせいで開演ぎりぎりに着くことになってしまい、会場での位置取りが後ろの方になってしまって、後ろの方はあまり盛り上がっていなくて残念だった。前の方の人たちは盛り上がっていてとても楽しそうだった。次は絶対に開場前に並ぶようにしたい。内容としては、このときは新譜を一つも聞いていなかったから新譜はいまいちよくわからなかったんだけど、「Share the light」「Drawn the light」「My Love’s Sold」「神のカルマ」「天才」「空をなくす」「落堕」「生活」「Sonic Disorder」「真空」「パープルムカデ」「イマジン」とかはやってたはず。僕は周りがいまいち盛り上がらない中、必死に口パクで歌っていた。この日は帰りに高校時代の友達と会い、泊まらせてもらった。残念なところもあったけど、全体としてはとても楽しかった。

 こんな感じでシロップこそ最強と思っていた僕なんだけど、少し前にフォロワーさんから勧められたハヌマーンというバンドがなかなか良くて、初めて聞いたときにシロップ並の衝撃を与えてくれた。これからもっと聞いていこうと思う。何より、もうシロップを超えるアーティストは僕の中で見つからないとしても、他のアーティストも聞いてみるかという気にさせたのが大きい。普段から興味があまりない僕だから、興味を持つきっかけというのは非常にありがたい。だからそのフォロワーさんにはとても感謝している。

 というわけで、僕の音楽史(?)の大きな流れは、ミスチル→シロップ→ハヌマーンという感じで来ているのかもしれない。シロップの影響が強すぎるから、今後さらに変遷があるとしても、その最中で必ずシロップは聞き続けることになるとは思うけど、それでも少し前進していると感じている。最近では少し作曲をしたいという気持ちも出てきていて、でもそうだとすると勉強しないとだなあと思っていて、同じく作曲をしようかという気になっている中学からの東大卒の友達に教えてもらおうか、という気になっている。いずれにせよ、こんな感じで長々と無意味に進めてきたけど、とりあえず文章に起こせて良かったかな、と思う。そうそう、母が車の中で聞いていた中で、僕はZARDが好きで、この間アルバムを借りたしそのうちまた聞こうと思っている。…と、こんな話をしだすと長くなるので、そろそろ終わりにしようと思う。原稿用紙8.5枚分ぐらいの量になっちゃったけど、読んでくれた方、ありがとうございました。じゃあね!